古来、日本の住宅づくりを担っていたのは、大工の棟梁によって束ねられた6つの分野の職人たち——プロ技術者集団でした。
すなわち「建具」職、「左官」職、「畳」職、「瓦」職、「鳶」職、そして「石工」というこの六職がそろえば、どんな建て主の望みにも確実に応えて、その期待の上を行く素晴らしい家を仕上げていました。
これら六職の職人たちは、分野こそ違え誰もが寝食を忘れて腕を磨くことに力を注ぎ、そうして養われた確かな技術を、世の人々は「名人技」と呼んで、大切にしてきたのです。
今日、職人たちは、時代の変化に合せて姿を変えながら、なお脈々と流れる六職の技を受け継いでいます。
すなわち畳職人は「内装工事」職へ、瓦職人は「屋根」屋・「板金」屋へ。
また石工は「基礎」屋へ。
もちろん建具、左官、鳶のように、昔のままに活躍する職人たちも健在です。
加えて現代の家づくりでは、束ね役の「大工/工務店」と設計を行う「建築設計者」も欠かせません。
まさに日本の住いづくりの流れを受け継ぎ進化する、この建築八職こそ、現代日本の家づくりの真の担い手なのです。